対ドル・対ユーロに対しても円高が継続中である。日本人の感覚からすれば、巨大な地震が日本を襲い、景気がよくないという実感にもかかわらずだ。一般的な経済論からすれば、経済の足下がおぼつかないのだから、諸外国の通貨に対して弱含みになるのが普通であろう。しかしそうはならない。かえって地震発生直後よりも円高となっている。
こうなれば世界的に見た金融経済の、だめだめ競争が始まっていると考えた方がよかろう。
ユーロの誕生以来ドル基軸通貨から、ユーロが取って代わることはないにしろ、第2の通貨軸となることを狙いとし、また期待もされた面がある。ただしドルが末期治療を受けて長らえてきた。
しかしブッシュ親子が継続した戦争によって、膨大で天文学的な財政赤字が発生したわけであるが、まだまだ増加している。なんとも天文学とはなんとも終わりのない単位である。
アメリカの景気はもともと主に移民による人口が増えることによって、またドルを印刷することによって世界経済を回わし、金融工学によって財政という傷口を覆い隠してきたが、実物経済の底が見えてきた。自由主義であると言われるアメリカも、その経済は実質的には国家財政によって管理された状態であったことがここ数年明らかになっている。日本・アジアなどに製造分野が取って代わられ、一時のイギリス的な経済構造である。
世界の経済を引っ張っているのは、日本をのぞくアジアであり、インド、南米などである。経済先進国といわれた国はこぞって経済が悪化している。イノベーションが起こっていないのだ。いやインターネットを中心とした、国の枠を超えた架空経済が、製造・物流・流通の面で実物経済を毀損しだしている。
よく考えれば、従来の経済成長の基本は、人口増加争いでもあった。人が増えれば、生産が増加し、一人あたりの価値が増加していく。人とは価値を生み出す源泉であり、消費を進めるうえでの大きな要素である。だから人が増えない国は経済が停滞する。農業を中心とした時代から、機械によって生産が進んだ時代も原則的には、人口の多い国が成長してきた。
基軸通貨がユーロへ転換すると思われたが、EUが一枚岩でなかったということが示されたようである。人口を増加を支える仲間を増やす必要がある。それは正しいが、仲間のタチが悪かったということであろう。EUは大ヨーロッパの誕生を急ぐあまりに、余計な仲間を入れすぎたのだろうか。アイルランド・ギリシア・ポルトガル…。誰が仲間で、誰が違うのか。ここ数年見えたきた、ヨーロッパ各国の経済破綻は、人口が増えなくなって、実質経済成長が止まった先進国が、経済成長は甚だしいが人口を増加させる国と同一の枠組みにとどまるのはなかなか困難である象徴である。
経済成長をプラスチックマネーといわれる帳簿上のコンピュータマネーで支えてきた砂上の楼閣的な先進国と、追いかける諸国。富の移転を伴わない下克上はあり得ないのだが、経済先進国はそれを許さないし、経済行動の結果〜それぞれの国のストックとしての帳簿上の数字はマイナスが目立ってきた。
経済圏で考えれば古くはインドやアジアあるいはアフリカ・東ヨーロッパなどから富を収奪する構造を作り上げることで、国の形ができてきた。同じことは富裕層と貧困層という組織の構図でもどうように行われてきた。
格差状態を維持し統制する仕組みの問題点が顕在化し、富の均一化と平均化が進むことで、始まったのが近世による民衆による革命であり独立運動であった。長く経済のコントロールを行う仕組みが機能してきたが、どうやらその仕組みが終焉の時期を迎えているようだ。
通貨・物流・人の交流などの新しいルールが必要になってくる。まずは今後、5年から10年で再整備されざるを得ない通貨を駆け引きとする国の形を変える経済活動。どのような結末が待っているのか。いずれにしてもドルが延命策を図り、穏やかな着地も困難であることは明白である。
打ち出の小槌だと思われた通貨管理が、コストを伴うことが明らかになってきている。そこで、経済のだめだめ競争であるが、勇気を持って立ち向かうプレイヤーは誰か。変わって登場する基軸通貨は、円(エン)という名を借りた元か、それとも古き良き人口増加と経済成長を成し遂げようとする南半球の通貨か。あるいは再度限定された通貨単位としての“金”か。そしてこういった世界経済をどこが引っ張っていくのか。
レバレッジをかけた仕組みが必要というならば、SF的にはインターネット上の仮想通貨が最良であろう。仮にインターネットキャッシュまたはクレジットの略としてICと名付けておこう。これのよいところは、いくらでも膨張が可能ということだ。まさに天文学的な単位とすることは可能だ。
英語で会話し、現物ではないICで買い物をする。国境という考え方がなくなりユニバーサルとなる。TPPやガットなどの仕組みもあっというまに解決してしまう。
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